
株式会社すかいらーくホールディングス (東証:3197) が2025年5月15日に発表した2025年12月期第1四半期(1月~3月)の連結決算は、売上収益、各利益段階ともに前年同期比で大幅な伸びを示し、好調なスタートを切った 。食材価格やエネルギーコストの高騰、円安の長期化といった厳しい外部環境が続く中 、的確な経営戦略が奏功した形だ。
主要経営指標は軒並み改善
当第1四半期の連結経営成績は以下の通り。
- 売上収益: 1,116億70百万円(前年同期比16.8%増)
- 事業利益: 82億36百万円(同29.6%増)
- 営業利益: 76億29百万円(同25.1%増)
- 親会社の所有者に帰属する四半期利益: 43億61百万円(同27.5%増)
- 基本的1株当たり四半期利益: 19.17円(前年同期15.04円)
同社が経営上の重要指標と位置付けるEBITDAも196億9百万円(同11.3%増)、調整後EBITDAは204億50百万円(同10.6%増)と伸長した 。
既存店好調、戦略的施策が貢献
好業績の背景には、既存店売上高が前年比109.7%と堅調に推移したことがある 。これは、消費のメリハリに対応したメニュー施策、特にお値打ちメニューの強化や小皿料理の充実が顧客の支持を得た結果と分析される 。「ガスト」で導入された平日限定「ガストフィットメニュー」などが客数増に寄与したという 。
コスト面では、一部メニューの値上げや食材ロス低減、原価低減プロジェクトにより、売上総利益率は前年同期比で0.9ポイント悪化したものの66.7%と高水準を維持 。また、販売費及び一般管理費は増加したものの、店舗の生産性向上による人件費抑制などで、売上収益に対する比率は大幅に低減したとしている 。

成長戦略も着実に推進
当第1四半期には新規出店10店舗(うち海外4店舗)、業態転換2店舗を実施 。店舗改装も40店舗で行われた 。海外では台湾で「しゃぶ葉」など3店舗を新規オープンしたほか 、1月にはマレーシアでしゃぶしゃぶ店を運営する企業グループの株式取得を完了するなど、M&Aによる事業規模拡大も進めている 。
通期の連結業績予想については、2025年2月13日公表の数値を据え置いており、売上収益4,450億円(前期比10.9%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益148億円(同6.0%増)を見込んでいる 。
厳しい経営環境は継続するものの、すかいらーくグループは既存店成長、国内外の新規出店、M&Aといった成長戦略を軸に、収益拡大を目指す方針だ 。第1四半期の好調な滑り出しは、今後の展開に期待を持たせるものと言えよう。
